売り場を捜すと、掛布団カバーや敷布団カバーというのはあるのですが、シーツは見当たりません。そこで店員さんに聞いてみることにしました。声をかけた店員さんは、担当の人を呼んでくれました。
担当の店員さんが来たので、「シーツはありますか」と聞きました。するとその人は「そちらです」と指し示しました。その方を見ると、敷布団カバーが並んでいます。私はちょっと躊躇して、「こ、これはシーツではないですよね」と言いました。すると店員さんは「ボックス型のことですか?」と言いました。ボックス型? シーツにボックス型ってあるのか? 私は混乱しました。シーツって布一枚だろう普通。いや、ふとんの角に引っ掛けるタイプも見たことがある。いや、しかしどちらにしてもシーツならいいのだ。でもここにあるのは敷布団カバーと書かれている。店員さんの顔をちらっと見ると、困ったような表情をしている。私は何と聞いていいかわからなくなり、「あの、ふとんに敷くシーツなんですけど…」というと、店員さんも「ええ…」と不思議そうな顔でこちらを見ている。私はすっかり舞い上がってしまいました。私の知っているシーツというものを、彼女は知らないのだろうか。もしかして、我が家で普通に使っていたシーツというものは、ほかの家庭では使っていないのだろうか。私の信じているシーツというものは、この世の中に存在していないのか? 頭の中をいろいろな考えが巡り、言葉を発せない私に、店員さんは「本店においてあるのはこれだけですが、よろしいでしょうか?」とのたまった。私はただ「あ、あ、わかりました」と言ってその場から逃げるように立ち去ることしかできませんでした。
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