完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫) | |
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私が初めて見たプロレスの記憶は、4,5歳のころだったと思うが、母の実家で親戚の集まりがあったときにテレビに映っていた、ジャイアント馬場対フリッツフォンエリックだった。鉄の爪、アイアンクローで掴まれた馬場の額の部分から血が流れ出しているのを見て、小さかった私は怖くてそれ以上見ていられなかったが、親戚のおじちゃんは冷静に「この外人は握力がすごくて、りんごも簡単に握りつぶしちゃうらしいよ」などと言っていたのが記憶に残っている。
そんな初遭遇のせいかどうかわからないが、それからの私は、ジャイアント馬場のプロレスが好きになった。そのせいで、妹までプロレスに詳しくなってしまった。DDTの正式名称がDangerous Driver Tenryuであること、パイルドライバーにはドリルアホールとツームストンがあること、キムイル(大木金太郎)とタッグを組んでいた弟(と言う設定)のキムドクはタイガー戸口であること、など女の子が知る必要のない知識を身につけてしまった妹は、飲み会などで男子がプロレスの話を始めると、自分を抑えきれずに彼らを上回る知識を思わず披露してしまい、「全然もてなくなった」と私のせいにしたりした。
そんな私もアントニオ猪木のプロレスを全く見ないわけではなかった。続きを読む