2009年06月26日

「Every Breath You Take」など足元にも及ばない

初めてマイケル・ジャクソンの歌声をヒット曲としてリアルタイムで聞いたのは、1976年のジャクソンズ(The Jacksons)としてのファーストシングル「Enjoy Yourself」だったと思う。そのときの第一印象は、「曲の展開もマイケルの歌い方も、何だか窮屈そうだなあ」というものだったと記憶している。そのころいっぱしのチャートマニアを任じていた私は、このグループの前身であるジャクソン・ファイブ(The Jackson 5)が69年のデビュー曲から4曲連続全米No1を獲得していること、その間リードヴォーカルのマイケルはソロシングルもリリースしており、72年の「Ben」も全米No1となっていること、そしてその「Ben」での13歳のマイケルの歌唱の素晴らしさ、について十分知っていた。その素晴らしさに比べて、「Enjoy Yourself」のマイケルも、またグループ自体も、確かに窮屈だったのだろう。時代を席巻するディスコムーブメントに、パワーポップ的なファンクで突破していこうという戦略は十分に理解できたが、長年在籍していたMotownを離れるに当たり、重要なメンバーであるジャーメインと決別しなければならない、という事情が、その音楽にも影を落としていたのかもしれない。
しかしその後、マイケルはミュージカル映画「Wiz」にダイアナ・ロスとともに出演したことで脚光を浴び、ついに傑作ソロアルバム「Off The Wall」をものすることになる。クインシー・ジョーンズをプロデューサーに迎え、彼を支えるロッド・テンパートン、ルイス・ジョンソン、フィリップ・フィリンゲインズらと作り上げたサウンドは、まさしくマイケル自身が自由を獲得し、その上で作り上げたものである。

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posted by beverlyglen2190 at 19:21 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする