2010年01月07日

マグネシウム文明論 矢部孝 山路達也 著 PHP新書 2010年1月発行

マグネシウム文明論 (PHP新書)マグネシウム文明論 (PHP新書)

PHP研究所 2009-12-16
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マグネシウム文明論。この本は昨年末からネットで評判になっており、私も正月に読もうと昨年中に入手、ことし一発目として読んだのだが、読んでいる間中、その内容にワクワクドキドキ。読了後もいろんな考えが浮かんできて、頭から離れることがない。そのあとさらに別の新書を一冊読んだにもかかわらず、そのワクワクが消えることはなく、読了から数日たった今日、改めて最初から読み始める始末。そのくらい、この本の威力は計り知れない。まさしく、すべての人たちに読んでほしい本である。

この本は、東工大教授である矢部氏が提唱し実現へのスタートを切った「マグネシウム循環社会」についてサイエンスライターの山路氏が著したものである。「マグネシウム循環社会」の道筋は以下のようなものだという:
(1)マグネシウムを豊富に含む海水を淡水化し、塩化マグネシウムを取り出し、熱を加えて酸化マグネシウムにする
(2)酸化マグネシウムを太陽光励起レーザーによって金属マグネシウムに精錬する
(3)金属マグネシウムを石油石炭に代わる燃料として、またはマグネシウム空気電池の電極として電気自動車や携帯機器のバッテリーで使用する
(4)使用済みの金属マグネシウムは酸化マグネシウムとなっている。これを回収し、(2)で再び金属マグネシウムにすればリサイクルができ、マグネシウム循環社会が成立する

ここで重要なのは、上記のそれぞれについて、基礎となる技術、すなわち(1)の太陽光を利用しランニングコストのかからない淡水化装置、(2)の太陽光から80Wの出力を得られるクロムネオジムYAGレーザー媒質、(3)の金属アルミニウムを使った簡易エンジンと簡易的なマグネシウム空気電池、のすべてにおいて基礎実験を行い、実証していることである。つまり机上の空論はどこにもなく、すべて動作が確認されている技術を使用するということであり、数多いトンデモ話とは一線を画する。

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posted by beverlyglen2190 at 02:03 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする