これを聞いて思い浮かんだのは、ロボコップであった。ロボコップの視覚は、現実の映像に重なる形でいろいろな情報がコンピュータディスプレイのように表示されるが、スカイカメラなら、自分がロボット(またはサイボーグ?)にならなくてもそのような視覚が得られるのだ。
まあロボコップに興味がないとしても、このセカイカメラはとてもエキサイティングで興味深いサービスだと思う。まず実体験としてとても面白い感覚が得られると思うし、陳腐な言葉を使えば、未来的だ。一方、この技術に対して、現在の技術では実現性が薄い、とか、電脳コイルのまねだとか、エアタグで提供される情報は玉石混交となる可能性がある、とかいっている人たちがいるらしいが、そんなのは私に言わせれば
「ブツクサ言う前にコードを書け」
である(ちなみに私はハードウェアエンジニアである。失礼)。スカイカメラをインプリメントしているのは、頓智・(とんちどっと)というベンチャーの井口尊仁という方らしいが、彼が現在の技術でも実現できるようインプリメントにトライしているということにまず敬意を払うべきだ。現在の技術でできない、というのは、私は無能です、と言っているのにnearly equalだ。また、何かのまねだという人には、じゃあ何であなたが先にやらなかったんですか、といってあげたい。口だけを動かすより、手や体を動かす人の方が何億倍も偉いのだ。さらに、何か問題がありそうだ、と言うことに気づいたのだとしたら、そうならないように基本設計やインプリメントを手伝ってあげればよい。上の批判的な発言が、そのような助言としての目的であることを願う。
つまり、このような先進的で世界を変えるかもしれないようなアイデアの芽が出現してきたときは、みんなでそれを育て、芽が空へ向かって伸びていけるように助けていくべきだ。それによって、技術の進歩は加速し、そこにさらに新しいアイデアも加わったりして、やがてお金も生み出してくれるようになり、みんなハッピーになれる可能性が高まるのである。
私はこれをテレビ番組で見かけたのだが、そこではセカイカメラ以外にG空間の例として別の技術も紹介されていた。ある駅をカードで改札をタッチして下車すると、それを検知して、その人の携帯に駅の近所のパン屋さんの情報がメールで届く。それを見てその店に行き、カードで買い物をすると、その情報もデータベースに取得され、その人の好みを調べる情報として使われ、さらに関連したお店の情報がメールで届けられる、といったものである。これは私に言わせれば、消費者から1円でも多く金をむしりとる為に技術を使っており、「最低の技術」と呼ぶにふさわしい。最近は金融商品を売る証券会社はそのリスクをしつこいぐらいに説明しなければいけないらしいが、この「最低の技術」を提供する会社も、申し込みの際には「このサービスであなたは月○○円をむしりとられる可能性がありますよ」と強調しなければ申し込めないようにしてはどうか。