自然体~自分のサッカーを貫けば、道は開ける (小学館101新書 22) 遠藤 保仁 小学館 2009-02-03 売り上げランキング : 28375 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
サッカー日本代表で中村俊輔選手とともに中盤のキーマンである遠藤保仁選手が、子供時代から現在までのサッカー選手生活について語った本。
遠藤選手は、最近では「コロコロPK」でも有名になりましたが、決して派手な選手ではなく、小野選手や稲本選手などと同世代のいわゆる黄金世代の一人ですが、海外で活躍しているわけではないので実績もこれからという選手です。個人的にも以前は好きな選手とは言えなかったので、この本を購入するか迷ったのですが、結局購入する決め手になったのは、ドイツワールドカップでの日本チームの内情について触れられていると知ったからです。
日本のサッカーファンは、あのドイツワールドカップでのオーストラリア戦敗北の悪夢から、いまだ醒めていないといっていいでしょう。1対0でリードしていた状況から、試合終了前の最後の10分間でチームが崩壊していくさまを目の当たりにしたあの体験は、まさにトラウマといっていいでしょう。その後オーストラリアに何回か普通に勝ったとしても、とても払拭できるものではありません。
あの試合の後、あるオーストラリアの選手は「フィジカルではなく、フィットネスで自分たちが勝っていた。あの暑い環境でも自分たちは90分間フルに動けたが、日本チームは終盤に動けなくなっていた」というようなことを話していましたが、本書ではこの緒戦の敗戦のあと、チームが崩壊してしまった、と書かれています。フィールドプレーヤーでは唯一このワールドカップで出番がなかった遠藤選手は、その辺の状況を比較的冷静に見ていられたようです。前園選手や川口選手が活躍してブラジルを破ったアトランタオリンピックのときも、大会中にチームが変質して予選リーグ敗退してしまったことが報じられたりしましたが、このような本大会中にチームに発生する力学については、普段のチーム強化とは違って、本大会に参加することでしか経験できないので、何回も勝ち進んで経験するしか対処法はないのでしょう。
遠藤選手自身は、サッカー選手としてのピークを次回の南アフリカワールドカップにもっていこうと決意しているようです。日本のJリーグでがんばっている選手ですが、アジアクラブ選手権を勝ち抜いてマンチェスターユナイテッドと対戦するなど、彼なりに経験値を積み上げていますので、今後の活躍に期待したいと思います。
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