日本全国を12に分け、2008年5月に第1巻「北海道」から発行スタートしたこのシリーズは、この4月18日に最終巻「九州」発行でとりあえず完結しましたが、第1巻からの累計発行部数は135万部を超えたということです。
今までの鉄道路線図は、ほとんどが縮尺を無視した、いわばポンチ絵のような形だったのに対し、この日本鉄道旅行地図帳では正しい縮尺の地形図に鉄道路線と駅が書かれているのが最大の特徴だということです。また、営業中の路線だけではなく、廃線や廃駅についての詳しい情報が掲載されているのも大きな特徴です。さらに、単線・複線や、貨物駅、スイッチバックなども記載されており、鉄道ファンも十分満足できます。
一方、地図には名所旧跡がプロットされているほか、その土地の名産品なども地図上にさり気なく記されており、鉄道マニアだけでなく一般の旅好きな人たちが見ても楽しいものになっているそうです。
今後の予定としては、5月20日に本書をもとにした白地図「乗りつぶしノート」を発売するほか、今秋には別巻「旧領土・旧植民地」の発売を予定しているということです。
この手の出版物は通常購入者の9割が男性だそうですが、本シリーズでは女性が3割を占めているというのもヒットした理由の一つでしょう。内容の充実度もさることながら、その理由を勝手に推測すると、1冊680円という価格も大きいのではないでしょうか。女性は男性よりも広く浅くアンテナを伸ばしており、この手のものに興味がある女性も今までいたのでしょうが、この地図のような出版物は普通1000円以上するので、そんなに払ってまで…と躊躇していた女性たちはたくさんいたのではないでしょうか。それに対し、日本鉄道旅行地図帳の680円という価格は、ちょっと買ってみようか、という気にさせる価格だったといえるでしょう。
廃線や廃駅について書かれているというのはちょっとノスタルジックですね。特に、以前地方に住んでいてその駅や路線に親しんでいたという方は、じっくり地図を眺めながら、そのころの思い出に浸るのもまた一興です。そういった使い方も含めて、自宅にいながら旅行気分に浸れそうなアイテムといえるでしょう。
日本鉄道旅行地図帳 1号 北海道―全線・全駅・全廃線 (1) (新潮「旅」ムック) by G-Tools |