2009年06月14日

新生バレーボール全日本女子「火の鳥NIPPON」 モントルーバレーマスターズは4戦全敗

監督が柳本氏から真鍋氏に替わって初めて召集されたバレーボール全日本女子チームは現在、7月初旬までの長いヨーロッパ遠征に出ています。まず、ジャズフェスティバルで有名なスイスのモントルーで行われる「モントルーバレーマスターズ」に出場しましたが、予選リーグで3戦全敗でグループ最下位となり、全体の5位決定戦進出をかけた試合でも敗れ、計4戦全敗、しかも得セット0という結果となりました。

まだまだ4年後のロンドン五輪へ向けてスタートを切ったばかりのチームですし、真鍋新監督がどのような戦術と戦略を目指しているのかについてもよくわからないので、この結果だけを見てとやかく言うのは時期尚早だとは思います。この遠征ではセッターとしてデンソーの横山雅美選手をメインに使おうとの計画だったところ、横山選手が直前に怪我で遠征に参加できなくなってしまった、などの予定外のこともあったでしょう。しかし、CS放送でこの4試合を見ていて改めて感じたことがあります。それは、他国の選手に比べて、日本の選手は、技術が劣っているのではないか、ということです。

特に、第1レシーブがセッターに入らない場合、または第1レシーブをセッターが行ってしまった場合、つまり、いわゆる「2段トス」のケースです。2段トスを上げる選手が、アタッカーのもとにきちんと2段トスをあげられない、そしてアタッカーは2段トスをきちんと処理できない、という場面が多すぎます。ヨーロッパのチームは、第1レシーブが乱れても、きちんと2段トスがアタッカーのところに上がってきますし、アタッカーはそれをきちんとジャンプして高い位置で処理しています。この点の技術の正確さが違いすぎるため、日本チームの場合は、第1レシーブが乱れると失点する割合が非常に大きくなっているように感じます。

また、日本チームの場合、第1レシーブがセッターに入ったとしても、その攻撃を十分にできないことが目立ちます。相手にブロックタッチされたり好レシーブされたり、というのではなく、ただ攻撃し切れない、打ち切れない、という場面が、他チームに比べて多いと感じるのです。

2段トスのプレーについては、日本チームはそもそも、このような状況を想定した実践的な練習をしているのでしょうか? 以前、イタリアに移籍した荒木絵里香選手とコーチ留学した中田久美さんが、共に「2段トスとそのアタックの練習が多くて驚いた」と言っているのを聞いて、こちらのほうが驚いてしまった記憶があります。日本ではよく「つなぎのプレー」がいい悪いなどという言い方をしますが、つなぎのプレーなどと一緒くたな言い方をしていること自体、試合で起こる各場面をきちんと分類して想定し準備・練習していない証拠だと言ったら言いすぎでしょうか。

攻撃し切れない、ということについては、日本のスポーツが共通して持っている問題かもしれません。世界では、攻撃する側は、それだけで守備する側より優位に立っているというのが普通の考え方です。したがって、攻撃側は精神的にも優位に感じて、余裕を持ってプレーすればいいはずです。しかし、日本チームの場合、サッカーなどで顕著ですが、攻撃する側の方が、余裕をなくして簡単なミスをしたり、ゴールから離れた場所にパスをするなどして、守備側が助かるような選択をしてしまうことがよくあります。今回の全日本チームも似た状況がしばしば見られます。問題なく攻撃の態勢に入っていても、アタッカーがボールを十分ヒットできなかったり、タイミングを自ら乱して意図の感じられないフェイントをしてみたり、といった場面が多すぎるのです。

これらのことは、選手が全日本に集まってから練習するようなことではないでしょう。Vリーグや、その前の学生時代からそのような問題意識の元で練習をしていなければ身についていなくて当然とも言えます。例えば速攻とブロック以外は何もできないセンタープレーヤーばかり育てているような現状では、むべなるかな、ということでしょう。

バレーボールの全日本チームは、大きな大会のほとんどを地元日本で行うことから、その期間は非常に注目度が高く、結果も求められるので、その大会の中で新しいことを試したり、未知数の若手に経験を積ませる、などのことがなかなかできません。つまり、日本からあまり目の届かない現在のヨーロッパ遠征の期間は、1年の中で、チームを作り上げる上で非常に貴重な期間です。このあと、さらに2つの大会に参加するそうなので、それらを通じてぜひチームとしてのかたちを作り上げていってほしいと切に願っています。
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posted by beverlyglen2190 at 05:52 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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