まず、基本となるシステムを決め、スタメンを考えます。キーパーを3名とすれば、残るポジション10個に対し、選手20名を決めればいいことになります。そのような単純な方法で考えてみます。
まずシステムは、岡田ジャパンで多く使われてきた 4−2−3−1 システムとします。
次にこのシステムに対するスターティングメンバーを考えます。
GKは楢崎(グランパス)。
DFは、右から、内田(アントラーズ)、中澤(Fマリノス)、トゥーリオ(グランパス)、長友(FC東京)。
MFは、ボランチが、稲本(フロンターレ)、長谷部(ヴォルフスブルク)、
前の3名が、右から、石川(FC東京)、本田(CSKAモスクワ)、松井(グルノーブル)。
FWは、岡崎(エスパルス)。
あら、中村俊(Fマリノス)も遠藤(ガンバ)もスタメンから外れてしまいました。なぜこうなったか説明してみます。
私は、現在の岡田ジャパンの問題点は、主に守備にある、と考えています。特に、ボランチの守備と、サイドの守備(及び攻撃)です。岡田ジャパンのボランチは遠藤と長谷部が務めることが多いですが、この2名は両者とも攻撃を重視しており、相手ボールになったときに2人同時につっかけて抜かれてしまい、大きなピンチを招くことが多いのです。そこで、守備が強く、攻撃も得意な稲本を守備的に、遠藤よりもスピードと運動量があり、敵ゴール近くまで侵入するプレーも得意な長谷部を前目に使う、という選択をしました。
次にサイドですが、日本チームにとって重要なのは、サイドハーフというポジションです。ここ数年、日本代表ではこのポジションは、ないといっても過言ではないほどでした。ジーコジャパンでは4−4−2システムだったようですが、実質的には4−2−2−2といってよく、サイドに張り出すMFはおらず、したがってサイド攻撃はサイドバック一人、サイドの守備もサイドバック一人という形で、サイドバックに大きな負担がかかる形でした。オシムジャパンではこのポジションが意識され、サイドバック、サイドハーフとさらに一人(ボランチか中央のMF)の三人のコンビネーションでサイドを突破する形が頻繁に見られました。岡田ジャパンでも4−2−3−1システムを採る限り、サイドハーフは重要なはずですが、右サイドハーフに入ることの多い中村俊が、しばしばポジションを離れて中央でプレーしたがることによって、右サイドが手薄になり、相手にこのサイドを衝かれることが多いのを、岡田監督は黙認しているようです。これはよくないことだと考えますので、私は右サイドハーフに石川を使いたいと思います。石川には基本的にサイドに張り出した形に位置させ、相手のサイドバックを抑える守備にも貢献してもらいたいと思います。もちろん、石川のスピードのある突破と、フィニッシュまで持ち込める能力は十分魅力的です。
左サイドの松井は、さすがにこのポジションをヨーロッパで何シーズンも務めているだけあって、安定しており、さらに左サイドバックの長友とのコンビネーションもできてきているようですので、安心してこのポジションを任せられます。
このサイドに常に張り出すサイドハーフというポジションは、現在のJリーグでもほとんど見られないので、国内組の選手にはほとんど任せることができません。したがって、石川以外に右サイドハーフを任せるとしたら、海外組の本田か、あるいは長谷部でもいいかもしれません。
ここで、中村俊も遠藤もピッチ上にいないのでは、はたしてゲームを組み立てられるのか、という疑問がわいてくるのも、もっともです。上記のスタメンは、守備のバランスと、攻撃陣のスピードと運動量を重視しています。ここに中村俊や遠藤が入れば、ためも作れ、じっくりと攻撃を組み立てることができ、ゲームのペースを変えることができます。岡田ジャパンでは、このようなゲームの流れを変えるような戦術的選手交代がほとんど見られないのですが、交代枠を含め、90分間でどのようにゲームを進めるのか、クレバーな試合運びをしてもらいたいものです。中村俊を起用するなら、やはり中央のポジションで、十分にタクトをふるってもらいたいものです。前目のボランチか、中央のMFがいいでしょう。後者の場合、本田の扱いに困りますが、右サイドハーフよりは、もしかしたら1トップの位置のほうが自由度があって、相手もいやがるかもしれません。遠藤の場合は、前目のボランチでしょう。これらの場合、いずれも稲本が引き気味で守備のバランスをとるのが必須条件となります。
さて、バックアップの10名ですが、以下の選手を選びました:
DF: 駒野(ジュビロ)、今野(FC東京)、岩政(アントラーズ)、阿部(レッズ)
MF: 中村俊(Fマリノス)、遠藤(ガンバ)、中村憲(フロンターレ)
FW: 田中達(レッズ)、玉田(グランパス)、森本(カターニア)
阿部はDFとして選んでいますが、本来攻撃で威力を発揮する選手だと考えます。守備的な選手として重宝されるのは、多分に本人の性格的なものがあると思います。ここでもユーティリティプレイヤーとして選びました。
FWは、2トップの布陣をとることも考え、4人としました。田中達は、コンディションさえよければ岡崎に代わってスタメン1トップでもよいと考えます。
一方、私が選ばなかった有望選手はざっと以下の通りです:
槙野(サンフレッチェ)
安田(ガンバ)
徳永(FC東京)
小笠原(アントラーズ)
小野(エスパルス)
柏木(レッズ)
大久保(ヴィッセル)
興梠(アントラーズ)
佐藤寿人(サンフレッチェ)
平山(FC東京)
山瀬(Fマリノス)
前田(ジュビロ)
矢野(アルビレックス)
徳永は本来の実力が発揮できれば十分内田を脅かす選手だと思うのですが、ここ数試合の代表戦ではトップコンディションではなかったようで残念でした。小笠原、小野はともに攻撃面ではトップレベルの選手ですが、守備戦術を考えたときに不安が残ります。柏木はとても面白い選手でぜひ使いたいのですが、現在の日本代表チームのシステムでは、使えるポジションがないという印象です。現システムで守備の負担が比較的少ないのは1トップとその下のMFぐらいですが、そこに位置する岡崎、田中達、本田といった選手を柏木が総合力で上回れるか、ということです。大久保は個人的に全く評価していない選手です。何しろシュートが下手。近距離でも思いっきり蹴るだけで、常にGKやバーにぶつけており、インテリジェンスが全く感じられません。ファーサイドにゴロで流し込むシュートがなぜできないのか。ちなみに、同じタイプの選手に播戸(セレッソ)がいます。平山、山瀬、前田、矢野などの、身長がありポストプレーができる選手を一人ぐらい入れるのは、オプションとしてありだと思いますが、岡田ジャパンではそのような戦術をほとんど取っていないので、ここでも見送りました。
こう考えてくると、サプライズ的な人選はほとんどないことに気づきます。実際、私は日本代表レベルの選手たちの潜在能力についてはほとんど疑問を持っていません。事実、オシムジャパンでは、現在よりももっと知名度のない選手たち(主にジェフの選手たち。失礼!)が、ヨーロッパ遠征でも十分対等に戦っていました。つまり、現在の日本代表の体たらくの原因が、選手たちにあるのではなく、代表監督にあるのは明白です。今年初めの東アジア選手権の韓国戦で大敗した時、日本サッカー協会は代表監督のバックアップについて準備しておくべきでした。それができていなかった日本サッカー協会の責任も大きい。せっかく、世界的に著名なイビチャオシムというツテができているのだから、世界トップレベルとはいかなくとも、実力のある監督の候補を紹介してもらうなど簡単にできたはずです。そんなこともしていなかった日本サッカー協会は、怠慢のそしりを免れません。何人もの選手たちが世界に挑戦し、世界の著名クラブでコーチ経験のある人たちが何人も来日している一方、日本サッカー協会が代表監督の選抜について世界に対する意識が欠如しているのは、日本サッカーにおける大きな問題です。このような問題がすぐに解決する兆しはなく、岡田監督の交代も可能性が低い現時点においては、岡田監督にはぜひ現実的な判断に立脚した戦術の再構築をお願いしたい。現在彼が行っている、守備のセオリーを無視してボールを奪いにいき、早い攻撃で得点力を上げようという戦術は、彼の指揮した10数試合を通じてほとんど機能しておらず、したがって得点力は上がっておらず、一方オーストラリアやオランダ等の世界レベルのチームを混乱させることもできておらず、このレベルのチームに勝つことは困難である。この事実を冷静に受け止めて、ぜひ今までの自分のやり方に固執せず、個々のチームに勝つための戦術を考えてほしい。せっかくの4年に1度のお祭りの観戦で悲しい思いをするのはいやなので、このように切に願うばかりです。
さて、以前のブログで、世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス や 「決定力不足」でもゴールは奪える といったサッカー本を紹介しましたが、その後も何冊か面白いサッカー本を読みました。いずれもサッカー好きな人なら楽しめるものばかりと思いますので、以下に紹介しておきます。ワールドカップ開催前のこの時期は、ここに書いた日本代表チームの予想や対戦チームとの試合展開予想など、考える楽しみもありますが、その助けにもなるかもしれません。
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