ASRockベアボーンキットブラックCore100HT/B1/BB ASROCK by G-Tools |
以前書いたように、自宅でのマシンは、メインがAOPENのMP915(CeleronM, mem1GB, WinXP)、TV録画マシンとしてキューブ型ベアボーン(Core2Duo, mem2GB, チューナキャプチャボード、Debian lenny)を使ってきたのですが、メインPCの性能に不満を感じるようになっていました。メインマシンの用途は、ネットブラウズ、メールや動画、ネットラジオを楽しむのに使っており、決して高負荷な使い方ではありません。ですが、ブラウザのFirefoxを何枚も開き、そのそれぞれにさらに複数のタブ(10個程度)でウェブページを表示させていつでも読める状態にしておき、PC自体も電源を落とさずに何日も連続稼動させる、というような使い方をしていました。すると、日を追うごとにFirefoxの使用メモリが増えていき、と同時にページファイルの容量もどんどん大きくなって、メモリ1GBマシンにもかかわらず、ページファイル2.5GBというような状況になっていきます。するとFirefoxの反応時間が目に見えて低下し、支障をきたすほどになってきました。マシンを再起動しなくても、Firefoxを終了して再実行させると、使用メモリもページファイルも最小状態に戻るのですが、表示ページの増加に伴い再実行の頻度が増え、あまり気持ちのいいものではありません。
AOPENのMP915は、MacMiniを模して作られたと思しきコンパクトなマシンで、非常に気に入って使ってきたのですが、メモリ増設しようにもMP915はMax1GBで、現状より増やせません。そこで、2010年に入ってから、少しづつ次期マシンについて検討を始めました。必須条件としては、優先順位が高い順に:
(1)MP915と同等程度のコンパクトさを持ち、テーブルにおけること
(2)メモリ4GB搭載可能
(3)低消費電力
(4)低価格
現在、マシンもディスプレイもテーブルに置いて使っており、その環境は変えたくありません。MP915ほど小さいマシンはめったにありませんが、テーブルにおける程度ではあってほしい。
引き続きWinXP(32bit)環境で使いたいので、メモリは増設したいものの、4GB以上搭載してもOSが認識しないそうなので、メモリは4GBに事実上決定。
24時間稼動が前提なので、低消費電力も重要。MP915はACアダプタ60Wであり、現状でこのレベルは困難だと思うが、同等程度が理想。
低価格は(1)のコンパクトさとは相反する条件。ミニタワー等のサイズならかなり安価にできることは承知しているが、コンパクトさは最優先なので、その中でどこまで低価格を実現できるかが問題。
これらの条件を前提にして検討を始めました(*1)。まず検討対象となるのは、MP915の後継機であるAopenのMP57-D。
XC Mini MP57-D (ベアシステムのみ) AOpen by G-Tools |
コンパクトさはMP915と同等ですが、価格が問題でした。
MP57-Dはベアボーンで、CPU搭載のものと未搭載のものがあります。搭載モデルのCPUはCore i5-520M(2.40GHz)で、ODDは搭載していますが、メモリ(SO-DIMM)とHDD(2.5inch)は未搭載で、価格は65000-70000円。CPU未搭載モデルは40000円程度、搭載可能な最安価CPU:Core i3-330M(2.13MHz)は14000円程度で、性能を落として安くしても計54000円程度と見積もりました。私の用途では、Core i3-330MでもCPUパワーとしては十分だと考えました。
一方、安価なものとしては、以前記事にした、Intel Atom CPU + NVIDIA ION chipset 構成のマシンがあります。Atom CPUを搭載したベアボーンで30000円台のものが何種類かあり、価格面ではかなり優位です。例えば、VALORE ION 330 という製品があります。
Valore ION 330 BLACK NVIDIA ION デュアルコアAtom 330 搭載ベアボーンキット Unity by G-Tools |
デュアルコアAtom330 CPUを搭載、メモリ4GBMaxで、30000円程度です。以前の記事では、IONの動画再生支援機能がAtom CPUの非力さを補っておりベストバランスだと述べたのですが、その後あることが気になりました。それは、FLASHベース動画の再生についてはIONは再生支援できず、したがってCPUパワーが必要だということです。動画投稿サイトやストリーミングの動画も最近は高品質なものが増えてきており、その再生には不安が残ります。
この不安を解消するものとしては、ION chipset + Socket PタイプのCore 2 Duo CPU (Penryn) という構成を採用した、AOPENの XC Mini GP7A-HD という製品があり、これは十分検討に値する製品でした。
AOpen(AII) XC Miniベアボーン GP7A-HD AOpen 2009-12-18 by G-Tools |
価格は、GP7A-HDが38000円程度。但し、CPUはモバイルCore 2 Duoと呼ばれるもので、他に対応するマザーボードがほとんどないことから価格がこなれておらず、FSB1066MHzで動作周波数が一番低いCore 2 Duo P8400(2.26GHz)でも20000円程度するため、結果として58000円となり MP57-D + Core i3-330M よりも高価になってしまいました。もちろんこの価格差=CPU性能差と考えることは可能ですが、私にとってはこのクラスのCPU性能であれば共に十分と考えられるため、価格はより重要な条件となります。
そんなこんなでちょうどいい製品が見つからず困っているときに新発売になった(2010年8月)のが、ASRockのベアボーン Core 100HTでした。
Core i3-330Mが搭載済み(*2)で、メモリはDDR3 SO-DIMMx2(DDR3-800/1066, Max8GB)、価格は48000円程度で、上で検討したMP57-D + Core i3-330M よりも6000円安い。詳細に検討すると、チップセットが異なる(MP57-DはQM57、Core 100HTはHM55Express)ようですが、私の用途からは特に問題はないようです。筐体はMP915より一回り大きいですが、195(W)×70(H)×186(D)mmはまあテーブルにおけるサイズです。ほかにギガビットイーサネットやUSB3.0対応、90WのACアダプタ使用など、特に欠点は見当たりません。一週間考えて、これを購入することにしました。メモリはSO-DIMMがデスクトップ用メモリより通常高価なのですが、DDR3-1333のものが2GB2枚組で8500円というのを見つけたので、これをDDR3-1066互換で使うことにし、HDDは2.5インチ160GBの安いものを選んで、トータル61000円弱で購入することができました。このレベルのPCで6万円を超えるのはどうなの、という意見もあると思いますが、コンパクト性を要求するとどうしても高価になってしまい、私としてはまあよしとしました。
これまで、PCを買い換えるときは全て、使用していたものが壊れたときでした。ノート型ベアボーンでCPUファンが回らなくなったことに気づかずCPUが高熱になりヒートシンクがチップダイに張り付いたことがあったかと思えば、イーサ部分がサージで破壊され動作不安定になったこともありました。対して今回は、MP915はまだ十分稼動可能で、小さな筐体で4年半がんばってくれたのですが、感謝しつつメインマシンの座を交代することにしました。
(*1):以下の内容は、これを検討した2010年前半〜8月での内容であり、現時点では異なる可能性が大きいので、参考にされる際は別途調査してください。
(*2)現在はCore i3-350Mにアップグレードしているようです。