2010年03月07日

「決定力不足」でもゴールは奪える 杉山茂樹著 双葉新書 2009年12月発行

「決定力不足」でもゴールは奪える (双葉新書)「決定力不足」でもゴールは奪える (双葉新書)

双葉社 2009-12-09
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「4−2−3−1」「日本サッカー偏差値52」とサッカーの戦術と日本サッカーの現状について新書で発表してきた著者が、新書3部作の掉尾を飾るべく、日本サッカーの決定力不足を解決する方法を示した本。双葉新書は双葉社から発刊された新書で、本書はその第1巻。

前著「日本サッカー偏差値52」について触れたとき、「傾向と対策」のうち「傾向」にしか触れられておらず「対策」への言及がない、と書いたのだが、本書の後半いっぱいを使って、「対策」すなわち日本代表はどのようにして点を取るべきかが具体的に書かれている。したがって私は勝手に「4−2−3−1」「日本サッカー偏差値52」そして本書を3部作だと受け取ってしまったのだが、最初からこの構成を著者が考えられていたのだとしたら、私の前回の記述については謝らなければならない。

そして私は最近知ったのだが、サッカーにおいてシステムを重視する著者の主張は、ネット上ではかなり批判の元になっているらしい。しかし、もともと日本でシステムについて議論するような素地もまた情報量も少なかったのであって、その点で著者はある一定の役割を果たしてきたと思う。また、私自身もイングランドプレミアリーグ、スペインリーガエスパニョーラ、そしてイタリアセリエA、ドイツブンデスリーガの試合のどれかを毎週テレビ観戦するようになってかなりの年月になるが、サッカーの分析に関する著者の指摘に関して、ほとんどが納得できる内容だと感じている。

一方残念なのは、これも前回書いたのだが、批判的な記述が多いことだ。それも客観的な批判と言うよりは、恨みに近い感情を文章から感じてしまうことである。その対象は、日本サッカー協会から、日本代表監督、そしてマスコミに至るまでさまざまだ。誰を批判するのも自由だが、批判する文章はもう少し冷静であってほしい。マスコミが事実と異なる内容を報道しているのならば、事実の蓄積をもとに、誤っている点を論理的に指摘すれば事足りる。サッカーのシステムを分析している部分などについては、客観的、論理的に書かれているので、なおさら残念である。

さて、この本は発売された昨年中にすぐに読んだのだが、前回紹介した「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」を読んだあと再読した。すると、「世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス」で非常に論理的に書かれたサッカー戦術が頭に入ったことにより、本書の内容がさらに明確に理解できた。これは新たな発見であった。その上で、先週水曜に行われた、日本対バーレーン戦をテレビ観戦したのだが、画面の見え方が今までとまったく違って見え、驚いてしまった。

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2010年03月03日

世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス 宮崎隆司著 コスミック出版 2010年2月発行

世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜 (COSMO BOOKS)

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サッカー日本代表・岡田ジャパンの今までの試合を、イタリアの5人の監督が、イタリアひいてはヨーロッパでベースとなっている戦術特に守備戦術を元に分析した、おそらく今まで例のない本。サッカーファンなら間違いなく楽しめる著作である。

ヨーロッパサッカーの戦術の大きな流れとしては、1970年代半ばのオランダのトータルフットボールを起源として、1980年代末から90年代初頭にかけてイタリア・ACミランでアリゴ・サッキ監督によって確立したプレッシングサッカーが現在も主流となっており、リーグ、チーム、監督によってシステムを微調整しながら、より効果的なプレッシングサッカーを模索している、と言えるだろう。つまり、イタリアは現在の最新のサッカー戦術の発祥地であると言えるわけで、そこでの監督経験のある戦術家たちにとって岡田ジャパンのサッカーがどう映るかというのは、大変興味深い。

分析対象のゲームとしては、2008年10月15日のワールドカップ予選ウズベキスタン戦から、2009年9月のオランダ遠征でのオランダ戦、ガーナ戦までに及ぶが、5人の監督は、この1年に渡る数々の日本代表の試合を分析した上で、ほぼ共通した指摘をしている。それらを抜き出してみると以下のようになる:

(1)相手ボールに対する守備の場面で、まず敵のボール保持者に対し一人の守備者がアプローチすると同時に、その両隣の守備者は下がって、ボールを頂点に斜めのラインを作るようにポジションをとるべき(これをイタリアではディアゴナーレ(対角線)と呼ぶ)だが、これが多くの場面で守られていない

(2)相手バックラインのボール回しに対してFWが数的不利にもかかわらず無謀で無駄なチェイスを仕掛けている

(3)センターライン付近でのまだ危機的でない相手のポゼッションに対して、守備的MFがわざわざ自分のポジションを空けてボールを取りに行き、簡単にかわされて自らピンチを作り出している

(4)これらの場面は、まだ自ゴールから離れた位置であり、きちんとポジションを取っていれば守備として十分なはずなのだが、あえて急いでボールを取りにいっているため、簡単にはずされて空いたスペースを突かれたり、敵の攻撃を急がせる結果となり、逆効果となっている

(5)その一方で、DFラインは総じて下がりすぎており、コンパクトでないため、有効にプレスがかからない

(6)日本チームは4-2-3-1のシステムを採用しているようだが、このシステムでサイドに張り付いているべきサイドハーフが中央にポジションを取りがちで、その分、常にサイドバックが上がりがちであり、バランスが悪くなっている

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2010年01月07日

マグネシウム文明論 矢部孝 山路達也 著 PHP新書 2010年1月発行

マグネシウム文明論 (PHP新書)マグネシウム文明論 (PHP新書)

PHP研究所 2009-12-16
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マグネシウム文明論。この本は昨年末からネットで評判になっており、私も正月に読もうと昨年中に入手、ことし一発目として読んだのだが、読んでいる間中、その内容にワクワクドキドキ。読了後もいろんな考えが浮かんできて、頭から離れることがない。そのあとさらに別の新書を一冊読んだにもかかわらず、そのワクワクが消えることはなく、読了から数日たった今日、改めて最初から読み始める始末。そのくらい、この本の威力は計り知れない。まさしく、すべての人たちに読んでほしい本である。

この本は、東工大教授である矢部氏が提唱し実現へのスタートを切った「マグネシウム循環社会」についてサイエンスライターの山路氏が著したものである。「マグネシウム循環社会」の道筋は以下のようなものだという:
(1)マグネシウムを豊富に含む海水を淡水化し、塩化マグネシウムを取り出し、熱を加えて酸化マグネシウムにする
(2)酸化マグネシウムを太陽光励起レーザーによって金属マグネシウムに精錬する
(3)金属マグネシウムを石油石炭に代わる燃料として、またはマグネシウム空気電池の電極として電気自動車や携帯機器のバッテリーで使用する
(4)使用済みの金属マグネシウムは酸化マグネシウムとなっている。これを回収し、(2)で再び金属マグネシウムにすればリサイクルができ、マグネシウム循環社会が成立する

ここで重要なのは、上記のそれぞれについて、基礎となる技術、すなわち(1)の太陽光を利用しランニングコストのかからない淡水化装置、(2)の太陽光から80Wの出力を得られるクロムネオジムYAGレーザー媒質、(3)の金属アルミニウムを使った簡易エンジンと簡易的なマグネシウム空気電池、のすべてにおいて基礎実験を行い、実証していることである。つまり机上の空論はどこにもなく、すべて動作が確認されている技術を使用するということであり、数多いトンデモ話とは一線を画する。

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2009年06月03日

多聞寺討伐 光瀬龍 著 扶桑社文庫 2009年4月発行

多聞寺討伐 (扶桑社文庫)多聞寺討伐 (扶桑社文庫)
光瀬 龍

扶桑社 2009-04-28
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「多聞寺討伐」このタイトル名をネットで見かけた瞬間、脳の奥底に小さく折りたたまれていた記憶が、一気に意識下に広げられ展開されるのを感じた。高校の図書室でたまたま見つけてむさぼるように読み、そしてその後文庫化されたのを大学の生協で我先に買い求めた、筒井康隆編の日本SFに関するアンソロジーについての記憶である。

徳間ノベルズから出ていた6冊のアンソロジー。「60年代日本SFベスト集成」を皮切りとして71年から75年まで1年ごとの日本作家によるSF短編を集めた短編集。その各短編の出来もさることながら、筒井康隆による各短編とその作家についての解説がすばらしく、その解説のほうを何度も何度も繰り返し読んだ。この解説をきっかけに読むようになった作家も数多い。山田正紀、田中光二、荒巻義雄、堀晃、藤原道夫、そしてもちろん、小松左京、光瀬龍。

とはいうものの、私は決して光瀬龍のいい読者ではない。宇宙年代記シリーズは大好きで、文庫化されたものはほとんど読んだし、その他にも記憶にある限りでは「百億の昼と千億の夜」「たそがれに還る」「喪われた都市の記憶」「東キャナル文書」そして短編集の「消えた神の顔」など。しかし光瀬龍は宇宙年代記シリーズ以外にも多くの長短編を著している。「夕ばえ作戦」のようなジュブナイルや本書に代表される時代SFもその一部だが、そちらはほとんど読んだことがない。例外は、表題作のような、筒井アンソロジーに収録された作品たちである。

「多聞寺討伐」という短編集は1974年に早川文庫から出ているが、今回の扶桑社文庫版は、早川文庫版の5短編を全て収録し、他の短編集に収められた時代SF短編、さらには単行本初収録短編も含まれる、充実した内容だ。最近日本SFをほとんど読んでいない私だが、「多聞寺討伐」というタイトルを目にしたときのショックをきっかけとして、SF読みとしてかつてお世話になった(作品を通じてという意味で)お返しをしなければ、という思いで、購入した。

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2009年05月12日

「日本サッカー偏差値52」 杉山茂樹著 じっぴコンパクト 2009年3月発行

日本サッカー偏差値52 (じっぴコンパクト)日本サッカー偏差値52 (じっぴコンパクト)
杉山 茂樹

実業之日本社 2009-03-19
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普段から日本サッカーについて辛口の評論で知られるスポーツジャーナリストの著者が、世界のサッカーに対する日本サッカーの評価を、偏差値を使って表したユニークな書。
じっぴコンパクトとは実業之日本社が発行している新書シリーズで、本書はその33巻目。サイズは通常の新書よりちょっと大きく、講談社ブルーバックスとほぼ同サイズのものである。

著者はかつて1年のうち200日以上を海外特に欧州でのサッカー取材・観戦に費やしていたことで有名であり、その知見は日本のスポーツジャーナリズム界では非常に貴重なものである。昨年上梓された「4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する」(光文社新書)は、それまできちんとした資料のなかった現代サッカーの戦術、フォーメーションについて書かれたすばらしい著作であった。ワールドカップやUEFAチャンピオンズリーグなどで時代のエポックとなった試合について、どのような戦術・フォーメーションが使われたか、そして試合中の戦況の変化に対してどのような変更が行なわれたか、が考察され、そして実際指揮した監督にインタビューして確認するなど、まさに現代サッカーはこのようにして考えられ行なわれているのだということがわかる労作であった。

そして今回、日本サッカーを憂える著者が行なったのは、世界の各チームの実力を偏差値で表すことによって、日本サッカーの現状を表現しようという試みであった。一般に、何かの物事の評価を偏差値で表す、というのは、あまり歓迎されないと思う。受験戦争で明らかなように、他のもろもろ大事なことをそぎ落としてしまって全体を正当に評価しない、という印象が偏差値にはある。が、逆に言うと、著者はそのような欠点が目に入らないほど、日本サッカーの現状、そしてその報じられ方の現状に危機感を抱いている、ともいえる。

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2009年05月06日

宇宙創成(上)(下) サイモン・シン著 新潮文庫 2009年2月発行

宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)

「フェルマーの最終定理」「暗号解読」の2作品で、問題に携わる学者や技術者の人間ドラマと、問題自体の専門的内容との2つを、高度なレベルで融合させて描写する力量を実証済みの著者が、宇宙の成立ちの謎とそれに挑む科学者たちをテーマに挑んだ、すばらしいノンフィクション。

「フェルマーの最終定理」も「暗号解読」もとても楽しく読むことができたので、「宇宙創成」の文庫化も非常に楽しみにしていた(単行本は買わないことにしているので)。いざ読み始めてみると、期待以上の内容で、読み終わるのが惜しいと思うほどであった。
彼の作品が特にすばらしいと思うのは、前もってそのテーマについてある程度知識があったとしても、さらに楽しめるということである。これは彼の作品が他の啓蒙書などとは一線を画す、ワンアンドオンリーの作品であることを意味する。
例えば、普通理系の人間ならば、フェルマーの最終定理について、暗号について、または宇宙論について、何冊かの本は読んだことがあるはずである。そのような場合、さらにそれらの啓蒙書を読むとすると、そんなことはもう知ってるよ、と退屈してしまうようなことはよくある。しかしサイモン・シンの著作でそのような気分を味わうことはほとんどないといってよい。特に今回「宇宙創成」を読むに当たって、単なる偶然だが昨年末に岩波新書から出たこれもすばらしい本「宇宙論入門」(佐藤勝彦著)を読んだばかりにもかかわらず、である。

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2009年04月20日

「見抜く力」 平井伯昌 著 幻冬社新書 2008年11月発行

見抜く力―夢を叶えるコーチング (幻冬舎新書)見抜く力―夢を叶えるコーチング (幻冬舎新書)
平井 伯昌

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オリンピック競泳平泳ぎの金メダリスト北島康介選手のコーチとして有名な平井伯昌氏が、自身のコーチングに対するポリシーについて語った本。

平井氏については、北京オリンピックのあと、いくつかのテレビドキュメンタリーで取り上げられたりしており、それらを見てある程度知ったつもりになっていたが、1時間程度のテレビ番組と書籍とでは、やはり情報量、密度は全く異なる。最近の新書では、スポーツ選手や棋士、タレントなどの口述筆記と思われる本が多く出版されており、果たして購入する価値があるのかな、と逡巡する場合も多いが、やはり一流の人の言葉には何かしら感心する場合も多いので、自分が関心をもっている人の場合は購入することにしている。本書も、購入するまでちょっと迷ったことは否定しないが、結果としてはso soといったところか。

北島選手と平井氏との関係については、「北島選手がすごいだけでは」という素朴な疑問が浮かぶが、客観的な事実を見れば、単純にそれだけではないことがわかる。例えば、先日競泳の日本選手権が行なわれたが、その女子背泳ぎで、50m、100m、200mの3種目をすべて自己ベスト記録で制した寺川綾選手。彼女は昨年の北京オリンピックの出場権をかけた試合で惨敗し、もしかして引退、と心配されたが、コーチを平井氏に変えて今回の復活に至ったのだという。実は、北京オリンピックで2大会連続銅メダルを獲得した中村礼子選手も平井氏に師事してから結果を残すようになっている。

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2009年03月31日

「自然体 自分のサッカーを貫けば、道は開ける」 遠藤保仁 著 小学館101新書 2009年2月発行

自然体~自分のサッカーを貫けば、道は開ける (小学館101新書 22)自然体~自分のサッカーを貫けば、道は開ける (小学館101新書 22)
遠藤 保仁

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サッカー日本代表で中村俊輔選手とともに中盤のキーマンである遠藤保仁選手が、子供時代から現在までのサッカー選手生活について語った本。

遠藤選手は、最近では「コロコロPK」でも有名になりましたが、決して派手な選手ではなく、小野選手や稲本選手などと同世代のいわゆる黄金世代の一人ですが、海外で活躍しているわけではないので実績もこれからという選手です。個人的にも以前は好きな選手とは言えなかったので、この本を購入するか迷ったのですが、結局購入する決め手になったのは、ドイツワールドカップでの日本チームの内情について触れられていると知ったからです。

日本のサッカーファンは、あのドイツワールドカップでのオーストラリア戦敗北の悪夢から、いまだ醒めていないといっていいでしょう。1対0でリードしていた状況から、試合終了前の最後の10分間でチームが崩壊していくさまを目の当たりにしたあの体験は、まさにトラウマといっていいでしょう。その後オーストラリアに何回か普通に勝ったとしても、とても払拭できるものではありません。

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2009年03月17日

「完本 1976年のアントニオ猪木」 柳澤健 著 文春文庫 2009年3月発行

完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)
完本 1976年のアントニオ猪木 (文春文庫)柳澤 健

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私が初めて見たプロレスの記憶は、4,5歳のころだったと思うが、母の実家で親戚の集まりがあったときにテレビに映っていた、ジャイアント馬場対フリッツフォンエリックだった。鉄の爪、アイアンクローで掴まれた馬場の額の部分から血が流れ出しているのを見て、小さかった私は怖くてそれ以上見ていられなかったが、親戚のおじちゃんは冷静に「この外人は握力がすごくて、りんごも簡単に握りつぶしちゃうらしいよ」などと言っていたのが記憶に残っている。

そんな初遭遇のせいかどうかわからないが、それからの私は、ジャイアント馬場のプロレスが好きになった。そのせいで、妹までプロレスに詳しくなってしまった。DDTの正式名称がDangerous Driver Tenryuであること、パイルドライバーにはドリルアホールとツームストンがあること、キムイル(大木金太郎)とタッグを組んでいた弟(と言う設定)のキムドクはタイガー戸口であること、など女の子が知る必要のない知識を身につけてしまった妹は、飲み会などで男子がプロレスの話を始めると、自分を抑えきれずに彼らを上回る知識を思わず披露してしまい、「全然もてなくなった」と私のせいにしたりした。

そんな私もアントニオ猪木のプロレスを全く見ないわけではなかった。続きを読む
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2009年01月29日

「超簡単 お金の運用術」 山崎元 著 朝日新書 2008年12月発行

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)
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お金の運用のしかたについて、まず結論が最初にズバッと書かれている、ほかに類を見ない本。

この種の本は数多くあるが、たいていは、今後の経済の見通しや、各種の金融商品の利点欠点、などについて述べた後、結論としてどのような投資がいいのかについては、各個人の状況や求めるリターンの水準などがそれぞれ異なるとして、具体的な方法についてお茶を濁しているものが多い。ほとんどといっていいほどである。それに対して本書では、何にどの程度投資すればいいのかを初めに明確に述べ、その後にその理由について別章で説明し、さらに投資に関する一般的な疑問や常識と思われている話題について、歯に衣着せぬ、という調子で解説している。


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posted by beverlyglen2190 at 22:49 | Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月19日

「そうだったのか!現代史」 池上彰 著 集英社文庫 2007年3月発行

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NHK週刊こどもニュースで一躍有名になった元NHKの記者・キャスターだった池上彰氏が、第二次大戦後の現代史について、18のトピックを取り上げ、やさしく解説した本。

ここ数十年、学校教育では現代史についてほとんど教えていないと思う。また、自ら学ぼうとする者に対しても、適したテキストはなかなか見当たらない。その意味では、この本の重要性はいくら強調してもしすぎることはない。高校生は、受験が終わったら即この本を読むべきだ。そして私の経験からいうと、いっぱしの社会人でも、この本に書かれた内容を全て知っている人は本当に少ないと思う。つまり、みんな読むべし、ということになる。

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2009年01月18日

「タンパク質の一生」 永田和弘 著 岩波新書 2008年6月発行

タンパク質の一生 ― 生命活動の舞台裏 (岩波新書)
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人の体は約60兆個の細胞からできているというが、その細胞ひとつひとつの内部では、DNAの情報をもとに多くのタンパク質が作られている。もっともアクティブな細胞では、1秒間に数万個のタンパク質が作られるという。それらタンパク質が生成されてから消滅するまでを、主に細胞内での活動にフォーカスして説明した、すばらしい本。

驚くのは、一つの細胞それ自体が、めまいがするような複雑極まりないシステムであることだ。そのシステムの様子が、タンパク質の生成や輸送、消滅の仕組みを説明することによって、語られていく。

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