サッカー日本代表・岡田ジャパンの今までの試合を、イタリアの5人の監督が、イタリアひいてはヨーロッパでベースとなっている戦術特に守備戦術を元に分析した、おそらく今まで例のない本。サッカーファンなら間違いなく楽しめる著作である。
ヨーロッパサッカーの戦術の大きな流れとしては、1970年代半ばのオランダのトータルフットボールを起源として、1980年代末から90年代初頭にかけてイタリア・ACミランでアリゴ・サッキ監督によって確立したプレッシングサッカーが現在も主流となっており、リーグ、チーム、監督によってシステムを微調整しながら、より効果的なプレッシングサッカーを模索している、と言えるだろう。つまり、イタリアは現在の最新のサッカー戦術の発祥地であると言えるわけで、そこでの監督経験のある戦術家たちにとって岡田ジャパンのサッカーがどう映るかというのは、大変興味深い。
分析対象のゲームとしては、2008年10月15日のワールドカップ予選ウズベキスタン戦から、2009年9月のオランダ遠征でのオランダ戦、ガーナ戦までに及ぶが、5人の監督は、この1年に渡る数々の日本代表の試合を分析した上で、ほぼ共通した指摘をしている。それらを抜き出してみると以下のようになる:
(1)相手ボールに対する守備の場面で、まず敵のボール保持者に対し一人の守備者がアプローチすると同時に、その両隣の守備者は下がって、ボールを頂点に斜めのラインを作るようにポジションをとるべき(これをイタリアではディアゴナーレ(対角線)と呼ぶ)だが、これが多くの場面で守られていない
(2)相手バックラインのボール回しに対してFWが数的不利にもかかわらず無謀で無駄なチェイスを仕掛けている
(3)センターライン付近でのまだ危機的でない相手のポゼッションに対して、守備的MFがわざわざ自分のポジションを空けてボールを取りに行き、簡単にかわされて自らピンチを作り出している
(4)これらの場面は、まだ自ゴールから離れた位置であり、きちんとポジションを取っていれば守備として十分なはずなのだが、あえて急いでボールを取りにいっているため、簡単にはずされて空いたスペースを突かれたり、敵の攻撃を急がせる結果となり、逆効果となっている
(5)その一方で、DFラインは総じて下がりすぎており、コンパクトでないため、有効にプレスがかからない
(6)日本チームは4-2-3-1のシステムを採用しているようだが、このシステムでサイドに張り付いているべきサイドハーフが中央にポジションを取りがちで、その分、常にサイドバックが上がりがちであり、バランスが悪くなっている
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posted by beverlyglen2190 at 17:50
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